ユーザ企業に転職して4年経ったエンジニアはその後どうなったか
結論
Web系に転職していた。
会社の意識としては事業会社だが、世間一般の分類としてはWeb系でエンジニアリングを重視する会社なので、この様に記す。
どうした
こういう記事を書いた。
今年事業会社からWeb系ベンチャーに転職したので所感を共有します - Qiita
Qiita にコード断片もないポエムを書くのはどうかなと思うので、なるべく淡々と参考資料になるように、という感じにはした。
// ややエモだがそこはすまぬ……
で、上記記事の背景を社会的に差し支えない程度にここに追記する。
何があった
主業務にて
まさに、前述の記事の事業会社の項で記述した問題に直面していて、どうにかしようとするも敵わぬ、となったのである。
チームで作り上げたものがリリース直後は技術的には品質はやはり良くはなく、色々あった挙句チームからプロダクトのイニシアチブは剥奪され、ITやWebの施策が関係無い部署が主管部署に変更された。
愛と目的を持ってプロダクトを進化させて行きたかったが、なかなかあちらの担当者に技術的にもWeb系的なトレンドも理解していただけず、障害対応と場当たり的なキャンペーン実装ばかりが1年以上継続した。
およそ1年間、アプリ上でユーザに対して発行するお知らせと、プッシュ通知の違いについてすら理解していただけなかった。あの時の巻き込み力の弱さを悔やんでいる。 主業務的には、これが最も厳しい経験だった。
その他間接的なもの
付随するものとして、主業務以外の阻害要因が非常に多く、諸々の結果として閾値を超えたというものもある。
具体的には、業務及び間接業務や労務でも関係の無い部署の方から、すれ違いざまに怒鳴られるなどがあった。
基本的には服装の話で本質的でなく下らないことではあるのだが、服装自由と聞いて入社して男性は全員シャツイン必須というのが判明したということがあり、この点について上記の様な事象が突然発生するということがあった。
上記を行なっていたのは社員の方ではなく、長期お勤めのパートの方であった。
同じようなことを継続して言われたのは僕だけではなく数名おり、かなりの方(エンジニア含む)は既に僕と同様に退職されている。
直接要因ではないにしろ、留まる理由と退職理由を自分の中で並べて検討する際に、後者として一定のスコアがあったのは事実である。
また、悪意は無くそれが業務であるから本当に仕方ないのだが、営業の部署が隣接しており、電話が鳴り止むことのない環境であったこともある。
電話を普通にするならまだしも、大声での談笑が多く、騒音計で測定したところ自席が65-70dbで推移する日もあり、ヘッドフォン無しでは仕事にならないこともあった。
ある同僚は、工事や建設現場で使うイヤーマフを装着していた。それほどであった。
ちなみに、ヘッドフォンが正式に許可されたのは途中からで、それまでは禁止であった。
ビジネスとそれに対する自分の想いに関する問題だけでなく、こういった本質的でないことによる消耗は、大きな会社になるほど発生するのだろうか。
現職が大きくなっても、こういう本質的でない問題で同僚が消耗するような芽が出ないようにしないとならない、と最近強く思っている。
事業・待遇の先の見えなさ
事業会社としての本業は完全に成熟・衰退産業で、所属していた部署は普通に社内外のSIをしており、利益率の高いビジネスに着手する方向が見えなかった。
利益率を上げられないということは待遇改善は期待出来ないことにつながる。
また自社の強みがいずれ強みでなくなることに対する危機感を説明し続けたものの、これも巻き込みが弱く響かなかったということもあった。実際今は他の巨大なプレーヤーに強みを奪われつつあるように見える。
評価制度
あるにはあったが、あるランクではスキルと成果をどの割合で見るか、及び結果としての相対評価の分布と、その評価による賞与レート程度であった。
スキルに関しては評価の最終決定者にエンジニアが不在に近い状態だったので、正しく評価されていた方はあまりいないのではなかろうかと推測している。
少なくとも、評価に納得感を持っていたのは2割にも満たなかったと記憶している。
また、評価が確定してから評価に関する面談が放棄された期が有り、賞与振り込み額をもって評価を知り、次回賞与直前にその放棄されかけていた面談が設定されたことがあった。
現在
上のクダ巻きが必要なことは一切無く、目的にフォーカスして仕事が出来る状態となっている。
変に常に後ろ向きな人も、変に足を引っ張る人もおらず、とにかく組織と事業と個人の成長に尽力出来る環境に身を置けている。
デフォルトで他人を尊重して扱う人しかいない集団はこんなにも素晴らしいものか、と。
今の所人生で最も仕事が楽しいし、翌営業日はもっと楽しいと思えるのだろうな、と。単調増加で。
まとめ
完全にクダを巻いている様に見えますが、巻いていますね…… 禊の様なものと思って頂ければ。
職種は問わず、他人を尊重し、せせこましい性悪説的な論理で他人を扱わなくて済む環境で仕事をするのが最も生産性が上がります。 利益率の高いビジネスならなおよい。清貧というのはファンタジーであるなと強く感じました。
そして、身を置く場所により人間の性質も変わります。
良き人に囲まれると良き人に近づけるし、逆もまた然り。
人間はどうしても距離の近い人や所属組織、住む場所による影響を強く受けるので、この点でも良き場所に身を置くようにしていきたいですね。
居場所を良くしようとし、それでも駄目なら己が動く。
とはいえ、何十年も生きた人間の考え方を変えてもらおうとするのは難しく、むしろおこがましいことすらあります。
さらに人はその場所に何十何百何千といるので、巻き込みとのバランスですが、己が動くことが最もビジネス的にも良いケースは多いので、皆様無理をせず。
以上となります。